弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第513回
担保付の土地を相続したらどうなる?

Q 
私は、兄の借入の担保となっている土地を相続しました。
兄は、担保については、
自分名義の他の土地に移すという約束をしましたが、
銀行が同意せず、担保を移すことはできませんでした。
私はどうしたらよいでしょうか?

A 
土地を相続する際に、
お兄さんがその土地についている担保を外す
という約束をしたにもかかわらず、担保を外せなかったようです。
担保を外すには、銀行の承諾が必要で、
銀行は、担保を変更したり、
保証人を変更したりすることに、
簡単には応じないことが多いので、
遺産分割協議書を交わす前に、
銀行に相談して、担保を外してくれる見込みが高い場合に、
そのような遺産分割協議書を交わした方が
よかったかもしれません。

そうは言っても、
既に、遺産分割協議を交わしてしまったものをどうするか
ということです。

1つは、お兄さんに対し、
担保を外すという約束だったのに外さなかったため、
損害を受けたとして、損害賠償請求をすることが考えられます。

このときの損害額をいくらとするかは問題です。
というのも、担保権が実行されて土地を失えば、
土地の売却額(お兄さんの借入への充当額)が損害となりますが、
まだ、お兄さんが返済を継続していて
担保権が実行されていないときには、
いくらの損害が発生したと言えるかどうか難しいからです。

そこで、担保を移すという約束に違反したことを理由に、
将来、担保権が実行されて土地を売却されてしまったときに、
お兄さんに、その売却代金
(正確には借入金の返済に当てられた金額)を
請求することになりますから
(この権利を「求償権」と言います)、
この求償権の担保として、
お兄さんが銀行に担保を移して欲しいと言っていた土地に
担保を付けてもらうことが考えられます。

ただし、担保を付けてもらうことに強制力はありませんから、
お兄さんが担保をつけることを拒否した場合には、
お兄さん名義の不動産を仮差押した方がいいかもしれません。

また、担保を他の土地に移すという約束だったのに
できなかったことを理由に、
以前の遺産分割を錯誤により無効だとして、
もう一度やり直してもらうということも考えられると思います。

ただし、遺産分割協議をやり直すには、
相続人全員の同意が必要ですし、
やり直しによって、税金などで不利益が出ないか
税理士などと相談しながら進めることが必要となります。


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2009年12月15日(火)

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