弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第519回
コンサルタントの「できる」は?

○○コンサルタントという職業があります。

○○の分野で、専門的な知識があり、
クライアントにアドバイスをして、報酬をもらう仕事です。

しかし、このコンサルタントという職業に就くには、
資格や試験はありません。

そして、コンサルタントの中には、
本来、弁護士資格を持たないとできない
法律上の紛争に関するアドバイスをしている人もいます。

そういうコンサルタントの決まり文句が、
「弁護士に相談してもできないというけれども、自分ならできる」 
弁護士が「できない」ことは、
普通は、法律上できないということです。

それを、コンサルタントが「できる」というのは、
法律上できないけれども、事実上できた、
あるいは、結果的にできたに過ぎないのです。

例えば、制限速度60キロの道路を
100キロで走れるかと聞かれたときに、
できると答えるか、できないと答えるか
というのと同じようなものです。

制限速度60キロの道路を100キロで走っても、
人通りの少ない道路では捕まらないことも多いでしょう。
でも、それは単に取締りが行われていないだけです。

制限速度違反については、
誰でも、違反だということがわかるから、
取り締まられれば捕まることがわかるからよいのですが、
みなさんが知らない法律の分野で、
これと同じように「できる」と言われたら、
しかも「これまで問題とされたことがない」
などと言われてしまうと、信じてしまうのが普通です。

もともと、相談者は、それをしたい、
あるいは、できたらよいと思っているわけですから、
余計、信じてしまうのです。

「できる」と言われたから、
多額のコンサルタント料を払ったのに、
できなかったというケースは、結構あります。

弁護士が法律上「できない」と言っているのに、
コンサルタントが「できる」と言っている場合には、
法的なリスクがある場合が多いです。
気をつけてください。  


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2010年1月7日(木)

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