弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第527回
一度貸すと返してもらえない

HiQの読者のみなさんの中には、
マンションやアパートのような建物ではなく、
土地を、貸している人や借りている人は少ないかもしれません。

しかし、逆に、そうであるからこそ、
あまり知識がなくて、トラブルになってしまったり、
損をしてしまったりということがあるようで、
僕は、結構、借地に関する相談に乗ることは多いです。

土地は、建物を建てる目的で貸した場合、
借りた人が借地借家法という法律で保護されています。

土地を貸すときに、20年とか30年とか
期間を定めて貸すのが普通ですが、
地主は、期間が来れば、
借主から当然に返してもらえるわけではありません。
返してもらうには、
返してもらうことに正当な理由が必要となります。

例えば、地主が使う必要性と借主が使う必要性を比較して、
地主が立退料を支払うか等を考慮して決めることになります。

立退料を支払うことを提案したとしても
正当な理由が認められず、
返してもらうことが認められない判例もあります。

また、借地権は、借地人によって売却することができます。
借地権の売却には地主の承諾が必要です。

大抵の地主は、借地権の売却に反対しますが、
地主が承諾しない場合は、
借地人は、裁判所に
地主の承諾に代わる許可を求めることができます。

借地権の買受人に問題がなく、
地代も支払えるということであれば、
裁判所は地主の代わりに売却を許可します。

地主がこれに対抗するには、
地主は、自分が借地権を買い取る
という権利を行使することができます。

これを地主の「介入権」と言います。
このように、地主は土地を貸してしまうと、
自分の所有物なのに、
無償で返してもらうということが難しくなってしまうのです。

ただし、借地借家法で保護されているのは、
建物を建てる目的で貸す場合で、
駐車場のような建物を建てる目的ではない場合は、
保護されていません。


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2010年2月4日(木)

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