弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第528回
球場への出入り禁止は違法!

先日、新型インフルエンザと
少年スポーツの大会開催について関与するのも、
弁護士の仕事だというお話をしました。
ちょうど、同時期に、
スポーツに関係する変わった判決が出たのでそれを取り上げます。

新聞報道をさらに要約すると、
日本プロ野球機構が、
暴力団関係者と関係のあると思われる応援団の会員を
全球場への入場禁止措置を取って、
さらに、応援団による
トランペットなどの鳴り物を使った応援を禁止しました。

これに対し、入場禁止とされた応援団の会員が、
入場禁止と鳴り物応援の禁止は無効の確認と、
これらの禁止処分を理由とする
慰謝料を求めて訴訟を起こしたものです。

裁判所は、鳴り物応援については、
認めるか認めないかは、
球団側が自由に決められることなので、
禁止してもよいと判断しました。

しかし、入場を禁止して、
入場券の販売を拒否したことについては、
野球観戦自体を制限することとなるから、
会員が問題行動を起こしたような事実があれば別だけれども、
そのような事実が認められないから、
入場禁止は、行き過ぎで違法だと判断しました。

細かい事実関係が新聞報道ではわかりませんが、
一般的には、鳴り物応援は球団側が禁止できて、
入場自体はなかなか禁止するのは難しいのではないかと思います。

入場させるかどうかは、球団側の自由だとも考えられますが、
球団は公の存在ですから、
好き嫌いで、「入れる」「入れない」
を決められる立場にはないと思います。

日本プロ野球機構も、応援団側も、控訴するようです。
果たして、どういうことになるのでしょうか。

ちなみに、入場禁止にされた慰謝料はいくらだと思いますか。
1人1万1000円だそうです。

慰謝料は請求できたとしても、額が低いことが多いので、
みなさんも、慰謝料を請求する場合には、
あまり期待しない方がいいですよ。


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2010年2月9日(火)

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