弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第533
既婚者の結婚の約束

以前も言ったと思いますが、
既婚者の恋愛や不倫に関する相談は多いです。

そのほとんどは、
不倫相手の配偶者から慰謝料の請求が来たというものか、
配偶者の不倫の相手に慰謝料を請求できないかというものです。

その中で、不倫相手と結婚の約束をしていたのに、
不倫相手の配偶者にばれて、
相手は元の鞘に納まってしまったけれども、
何か相手に請求できないかというものや、不倫だけれども、
いつかは結婚しようと信じて付き合ってきたのに、
結局結婚できなかったので
相手に請求できないかというものがあります。

そもそも、相手が既婚者と知って、交際している場合には、
その交際は、交際相手の配偶者の
貞操権などの権利を侵害していることになります。

したがって、既婚者である交際相手が
いくら将来結婚しようと言っていて、それを信頼したとしても、
法律上は保護されません。

そもそも、独身者同士でも、婚約と言えるのは、
結納を交わした、結婚式場を予約した、
同居して事実上夫婦として生活していたなど、
結婚に向けての具体的な行為がある場合です。

そのようなことがないと、独身者同士でも、
単なる恋愛、交際の破綻ということで、法律上保護されません。

だから、既婚者との交際、恋愛は、
そもそも自分が違法行為をしているのですから、
もっと法律上は保護されないのです。

ただ、過去の判例では、
妻子と別居中の男性と結婚を前提に5年以上同棲し、
その間に2度妊娠中絶したが、
男性が同棲を解消し、妻と同居するようになった事案で、
既婚者の婚約であっても、有効だと判断されています。

このくらいの事情がないと
既婚者の結婚の約束は保護されません。

既婚者との恋愛は、相手の配偶者から
慰謝料請求を受けるリスクもある上に、
相手の気が変わったとしても法律上も保護されない
というリスクがあります。


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2010年3月2日(火)

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