弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第535回
弁護士会の会長が決まらない?

みなさんにはあまり関係がなく、関心もないとは思うのですが、
日本弁護士連合会(通称「日弁連」)の会長選挙で、
おもしろいというか、
変わったことが起きるかもしれないので、お話します。

2月に日弁連の会長選挙は、
2人が立候補して行われました。
しかし、結果は、3月に再投票、
即ち、投票のやり直しとなりました。

やり直しということは、2人の票が同数だった、
あるいは、投票に不正か誤りがあった
と思う方もいるかもしれませんが、そうではありません。

票の数から言えば、
一方の票数が他方の票数よりも、
約1000票も多かったのです。
(現在弁護士の数は約2万5000人)

それにもかかわらず、再投票になったのは、
弁護士会の会長選挙に特殊なルールがあるからです。

それは、最多得票数を獲得した者が、
全国52ある弁護士会のうち、
3分の1以上の会でも最多得票を取らなければ、
会長になれないというものです。

今回、最多得票数を獲得した候補者は、
52会の内、9会でしか最多得票となりませんでした。
そこで、再投票となってしまったのです。

どうしてこんなルールがあるかというと、
弁護士は、東京に約半数が集中しており、
単純に数で決めるとなると、
東京の弁護士の意向で物事が決まってしまうので、
これを防ぐためのようです。

今回の選挙は、正に、そのとおりで、
東京、大阪では、
総得票数で最多得票を獲得した候補者が勝って、
その他の地方42会では他の候補者が勝ったので、
東京・大阪対地方という構図になっています。

次回どちらかが当選するには、
一方があと9会でトップを取るか、
他方が1000票の差を逆転するか、ということになります。

もし、再投票で決着しないとどうなるかと言うと、
選挙のやり直しで、立候補からやり直すそうです。

しかし、選挙をやり直しても、
これまで選挙活動をしていない人が
突然立候補するとは思えませんから、
同じ立候補者で、再度、投票が行われるような気がします。
そうすると、また同じ結果になるかも知れません。

東京の意向で、
弁護士会のことを決めさせない
ということはいいのかもしれませんが、
同じことを何度もすることになったら、
それは無駄のような気がします。


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2010年3月9日(火)

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