弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第552回
猫にえさやりで賠償責任

みなさん、新聞やテレビの報道で、ご存知だとは思いますが、
野良猫にえさをやることが違法なのかどうなのか
争われた裁判がありました。

えさをあげて訴えられたのが、
将棋の元名人であったことから、
マスコミに大々的に取り上げられました。

野良猫も生き物であり、
命を守るためには、えさをやるのは当然というのが、
えさをやる側の言い分です。

これに対し、訴えた方は、
同じテラスハウスに住む住民及び管理組合で、
こちら側は、テラスハウスでは動物の飼育が禁止されており、
えさやりによって、野良猫が増加し、
猫の糞尿により、
異臭や糞の始末などの迷惑を被っているというのが言い分です。

えさをやる側は、単にえさをやっていただけではなく、
猫の避妊手術をしたり、猫のトイレを設置したり、
猫の糞も清掃したりはしていたようです。

さて、裁判所は、テラスハウスでの管理規約で、
動物の飼育が禁止されていることから、
野良猫のえさやりも、この動物の飼育に禁止されているとし、
野良猫へのえさやりを禁止し、
慰謝料の支払義務を認めました。

このテラスハウスが動物の飼育が禁止されていることと
猫にえさをやれば隣近所に迷惑がかかることから、
違法だということが理由だと思います。

野良猫の命を助けるために、えさをあげることは、
立派なことかもしれませんが、
その結果、他人に迷惑がかかるのでは、
法律上、認められないということです。

損害賠償請求が認められるかどうかは、
他人にかかった迷惑の程度によりますが、
裁判の事案では、
その程度がひどかったということなんだと思います。

野良猫の原因は、
野良猫同士の繁殖ということもあるのでしょうが、
元を辿れば、おそらく人が猫を捨てるのが原因ですが、
猫を捨てることは、動物愛護管理法で、
50万円以下の罰金が科せられることとなっています。

もちろん、法律が捨てることを禁止しているのは
猫だけではありません。


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2010年5月18日(火)

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