弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第565回
経営コンサルタントが弁護士法違反で家宅捜索

ずっと前に、報道されていた事件だったのですが、
最近、コラムで取り上げようと思う報道が多く、
取り上げずに、今日まで来てしまいました。

さて、弁護士資格がないのに、
訴訟や示談交渉その他法律に関する
手続をすることはできません
(一部は、弁護士以外の資格を持っていれば、
その資格に応じてすることができる手続もあります。)

弁護士資格がなくてもできるとすれば、
誰も司法試験に合格する必要がなくなります。

経営コンサルタントは、
会社経営に関してアドバイスすることが仕事で、
取扱分野は、会社経営の効率化から、
売上を伸ばす方法や人事管理法など、多岐にわたります。

経営コンサルタントになるには、資格は要りません。
そこで、本来、資格がないとできないアドバイスが
手続を経営に関するコンサルティング
という名目で行われる場合があります。

今回問題となったのは、
経営コンサルタントが会社分割を行っていたというものです。

会社分割自体は、1つの会社を2つに分ける手続です。
会社分割については、元の会社の財産を全て新会社に移し、
借金だけ古い会社に残すことにより、
借金の支払を免れるために、利用されることがあります。

家宅捜索を受けた経営コンサルタントは、
このような目的で会社分割を利用するよう
アドバイスしたと思われます。

報道によると、経営コンサルタントのアドバイスを受けた会社は、
アドバイスによりうまく借金の支払を免れることはなく、
破産することになってしまったようです。

経営コンサルタントは、弁護士資格がありませんから、
そもそも紛争や法律問題に関し、
アドバイスすることはできません。

しかも、そのアドバイスが適法であることや
実効性があることの保証はありません。

紛争や法律問題については、経営コンサルタントではなく、
弁護士に相談した方がよいと思います。


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2010年7月6日(火)

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