弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第582回
緊急保証貸し倒れ2100億円

日経新聞によると、
リーマンショック後の景気対策として中小企業向け融資に対し、
保証協会が保証した保証の貸し倒れが約2100億円にも上り、
貸し倒れ率が、制度が始まった2008年10月から2010年6月までで、
1.03%にもなったそうです。

この1.03%が少ない数字なのか多い数字なのかは、
なかなかわかりにくいと思いますが、
1998年の同様の制度では、
最終的に9.1%で、2.6兆円の貸し倒れが発生しました。
そのときは、実質無審査で、保証を行ったため、
貸し倒れが多かったと批判されたそうです。

そこで、今回は、審査を行ったにもかかわらず、
貸し倒れのペースが、前回のときと変わっておらず、
最終的な貸し倒れは
10%から11%と見込まれているとのことでした。

どうして、このニュースを取り上げたかと言うと、
みなさんに、融資(貸付)や保証をすると、
審査をして貸しても、
返って来ない可能性があるということを知ってもらうためです。

みなさんが、お金を貸したり、保証したりする場合は、
何十万円や何百万円(ときに何千万円もあるかもしれません)と、
国の融資や保証とは、桁が違うかもしれません。

しかし、相手が倒産すれば、返って来ないのは同じです。
お金を貸したり、保証したりすることは、
お金を出しても返って来ない可能性がある危険な行為なのです。

国は、損をしても、税金で補填すればよいですが、
みなさんは、貸し倒れで損をしたら、
自分で穴埋めするほかありません。

みなさんが、お金を貸したり、
保証したりする場合には、絶対返って来ると信じるのではなくて、
自分が損をする可能性があることを、
よくよく理解して、
そうなったときは仕方がないと考えてした方が
あとで苦しまないで済むと思います。


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2010年9月7日(火)

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