弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第604回
共有は避けた方がよい

土地や建物などの不動産を複数の人が
共同で買うことは少ないと思います。

したがって、通常は、
土地や建物の共有ということは起こりにくいです。

しかし、相続の場面では、法律上、
相続人は、各法定相続分で、
遺産を取得することとなっていますから、
そのままにしておくと、共有になってしまいます。

実際、遺産分割の話し合いをした場合でも、
法定相続分どおりに分けるのが公平だということから、
遺産分割協議をした場合でも、
そのまま法定相続分どおりの持分で
共有とされているケースが多いです。

そこで、相続が起きると、
不動産の共有状態が発生する可能性は高いのです。

この共有状態は、一見、みんなが平等に権利を持っているので、
良さそうに思えます。

しかし、1つの物件ですから、
使用できるのは、共有者のうちの1人となるのが普通です。
そうすると、共有者のうち、
誰が共有物を使用するのかという問題が発生します。

使用する人が決まれば、使用できない人に対して、
使用する人が使用料を払うのか、
払わないのかという問題が発生します。

それでは、共有者の1人が使用することとすると
問題が発生するのであれば、マンションのように、
共有者以外に貸して、
賃料を共有持分に従って分けることにすれば、
問題は生じないようにも思えます。

しかし、そのときには、賃料の回収や
不動産業者とのやり取り、
修繕や掃除などの管理を誰がするのか、
その管理をしている人は、
管理に関する対価をもらえるのかなどという問題が発生します。

また、どちらのケースでも、共有者の中には、
売らないでずっと持ち続けたいという人と
売ってお金にしたいという人が出てきます。

これらが、兄弟間(共有者間)で、きちんと話し合えるなら、
共有にしておくのもよいのですが、時間が経つと、
共有者の事情も変わってきて、
後でトラブルになることも多いですから、相続の際には、
なるべく共有にするのは避けた方がよいと思います。

共有にするのであれば、
先ほど挙げた問題となりそうなことを
文書にしておいた方がよいと思います。


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2010年11月23日(火)

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