弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第606回
タレント無罪証人に偽証罪判決

未公開株の売却を巡りタレントが詐欺罪に問われ、
無罪になった事件(現在検察が控訴中)がありました。

この事件に関連して、
偽証罪の成立を認めるという珍しい判決が出されました。

新聞報道などによると、偽証罪に問われ、
有罪判決を受けたのは、
このタレントが詐欺罪で無罪になった事件で、
タレントに有利な証言をした証人だったようです。

偽証罪というのは、裁判で、
自分の記憶に反した証言をした場合に成立する犯罪で、
客観的事実に反する証言をしたことに
成立する犯罪ではありません。

例えば、裁判で、実際は、赤信号だったのに、
青信号だったと証言しても、
自分の記憶では青信号だったということであれば、
偽証罪は成立しないのです。

自分の記憶でも、赤信号だったにもかかわらず、
青信号だったと証言した場合に、偽証罪が成立するのです。

しかし、他人が、証人の記憶では、
赤信号だったことを証明するのは、難しいです。
証人は、自分の記憶では、青信号だったと言われると、
それ以上追及することは難しいからです。

そこで、偽証罪で立件されることは、
極めて珍しいです。

通常であれば、タレントの事件で、
検察は、証人の証言に信用性がないから、
タレントは有罪だと控訴審で争っていくだけだと思います。
しかし、よほど、
証人の証言が嘘だということに自信があったし、
有罪の事件を嘘の証言で無罪にされたという思いがあったためか、
偽証罪で起訴までしたようです。
そして、裁判所まで、偽証罪を認めました。

タレントの事件の行方にも、
この偽証罪の成立は影響する可能性はありますが、
この偽証罪自体、証人は控訴するでしょうから、
最終的に有罪となるのか興味があります。


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2010年11月30日(火)

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