弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第607回
預金の差押をしたい

Q 預金の差押をしたいのですが、口座番号がわかりません。
どうしたらよいでしょうか?
また、一度の差押で全額回収できなかった場合に、
差押は何度もできるのでしょうか?

A 判決を取ることの意味の1つは、
相手の財産を差し押さえることができるということにあります。
相手が会社でも、個人でも、差押の対象として、
浮かぶのは、不動産か預金と言うところでしょうか。

しかし、相手がどこの銀行の
どこの支店に預金を持っているかなどは、
普通はわからないものです。
ましてや、口座番号などは余計わかりません。
銀行に、相手の銀行口座があるかどうかを聞いても、
銀行は守秘義務があるから教えてはくれません。
これは弁護士が銀行に尋ねても同じです。
さて、そこでどうするか。
まず、差押に必要なのは、銀行名と支店だけです。
口座番号はわからなくても大丈夫です。

そこで、これまでの相手との付き合いから、
相手が借入をしたり、
振込口座としたりしている取引銀行を推測します。

家や事務所の近くの銀行の支店には、
預金口座がある可能性があります。

預金口座がわかれば、
すぐにその預金口座を差し押さえればよいのですが、
わからない場合は、
このように一か八かの推定で
預金口座を差し押さえることとなります。

推測ですので、当たる確立が少ないですが、
はずれても、差押を取り下げて、
全額回収できるまで何度でも差押をすることができます。

差押に成功しても、
差し押さえた預金額が判決で認められた金額に不足すれば、
その預金を回収した後で、
やはり判決で認められた金額を回収するまで、
差押をすることができます。

会社との取引では、万一のため、
相手の取引銀行を確認しておいた方が
いざというとき役に立つかもしれません。


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2010年12月2日(木)

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