弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第610回
傷害事件の示談というのは

歌舞伎役者に対する
傷害事件の「示談」が話題になっているようです。

一般的に、「示談」にするというときの
「示談」という言葉は、
裁判にせず話し合いで解決する
という意味で使われているようです。

そこで、訴訟外の交渉で解決する場合は、
全て「示談」にするという使われ方をしているようです。

しかし、弁護士などの法律家が「示談」と言う場合は、
単なる裁判外の話し合いという意味ではなく、
違う意味を持つ場合が多いです。

法律家が言う場合の「示談」は、
刑事事件について被害者と被害弁償などの合意をすること、
という意味で使用されることが多いです。

傷害罪や窃盗罪など被害者のある刑事事件では、
検察官が刑事処分をするに当たって、
被害弁償がなされたかどうか、
被害者が加害者を許しているかどうかが重要な意味を持ちます。

被害弁償もされておらず、
被害者が加害者を許していないということになれば、
刑事処分は重くなります。

逆に、被害弁償がされており、
被害者が加害者を許しているのであれば、
刑事処分は軽くなります。

したがって、傷害事件や
窃盗事件など被害者がある犯罪の弁護を引き受けた弁護士は、
被害者と被害弁償の話し合いをすることが重要な仕事となります。

そこで、弁護士などの法律家は、
この被害者と被害弁償の話し合いを
特に「示談」と呼んだりしているのです。

「示談」では、加害者が刑事処分を突きつけられており
不利な立場にいることから、
被害者が通常の被害額から比べて大きな額を請求したり、
事件直後は被害感情が高まっていて
冷静な話合いができなかったりするので、
なかなか難しい面があります。

歌舞伎役者は、被害者なのに
「示談」を話題にされているのが
この事件の不思議なところですね。


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2010年12月14日(火)

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