弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第631回
保険金が受け取れない

保険というのは、万一、
事故があったりしたときのために加入し、
お金を払っておくものです。

しかし、その万が一のことが起きても、
保険が払われないことがあります。
それは、事故を仮装したと疑われる場合です。

例えば、自動車の保険には
車両盗難保険というものがあります。
自動車が盗まれた場合には、
その盗まれた自動車の
価格相当額を賠償してくれるという保険です。

少し前に、高級車が連続して盗まれる
ということが話題になったことがあります。

この高級車には、イモビライザー
という電子式ロックが付けられていることが多かったのです。

そして、この窃盗事件が始まったころは、
このイモビライザーは破れるはずがないと考えられていました。
 
そこで、保険会社は、自動車の盗難は、嘘で、
自分で売却するなどして換金した上で、
さらに保険金を請求している可能性があるとして、
保険金を払わないということが続いたのです。

今では、イモビライザーは、
イモビカッターと呼ばれる装置で
簡単に破れることがわかりましたし、
高級車の連続盗難が話題になったので、
盗難ということで
保険金が払われるケースも増えていると思います。

初期のころは、裁判でも、
自動車の所有者が負けるケースも多かったのです。

これは、保険金の払われない一例ですが、
一般的に、保険金請求の事件では、
事故か事故の仮装かわからないケースも多いです。

その場合、仮装だと疑われる一般的な事情は次の通りです。
・事故原因、場所、事故の通報などに不自然な点がある。
・保険金の請求が2度目以上である。
・保険金を請求している人がお金に困っている。

こういう場合は、本当に事故に遭っても、
保険金が簡単に支払われない可能性があります。

保険契約者からすると、
それだと何のための保険料かわからないということになります。

しかし、保険会社からすると、
事故を偽装した詐欺的な保険金請求は、結構多いので、
そんな保険金請求を簡単に認めていたら、
保険料を上げなければ
保険が成り立たなくなってしまうということになります。


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2011年3月1日(火)

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