弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第633回
優良事業を切り離して支払を免れる?

みなさんの中で、
会社を経営している方は少ないかもしれません。
会社の営業自体は利益が出ているけれども、
過去の借入の返済ができるほどは、利益が出ていない。
そういう会社は結構あります。

そういう会社の経営者であれば、
過去の借入などの負債から、
優良事業だけ切り離して、
会社を再建できないだろうかと考えるのが普通です。

そういう会社の経営者の願望が、
会社分割を使えば、
簡単に叶うかのようなことを言うコンサルタントや
弁護士がいるようです。

会社分割というのは、
1つの会社の事業部門や
特定の営業を独立した会社に分割する制度です。

1つの会社XにA事業部とB事業部があった場合、
B事業部を会社Yとして、
Xとは独立した会社にする手続きが会社分割です。

この会社分割を利用して、
優良事業であるB事業だけ別な会社Yに移し、
銀行借り入れなどを元のXに残したままにするというのが、
先ほどのコンサルタントや
弁護士が言う会社分割を利用した会社の経営者の
願望にこたえる会社再建法ということになります。

以前は、法律上、会社分割によって別れたXにもYにも、
債務の履行の見込みがなければ、
会社分割ができなかったのが、新会社法になって、
債務の履行の見込みがなくても会社分割の手続自体は、
可能となったことから、
弁護士やコンサルタントが、
優良事業だけ切り離して
会社の再建ができる
という夢のようなことを言うようになったのです。

新会社法ができてから、
このような会社分割が相次いだため、
Xの債権者が、Yや経営者に対し、
裁判を起こすケースが相次ぎ、
Xに残された債務の履行の見込みがないようなケースでは、
Yやその経営者に対しても、
責任が認められている判決が出されました。

結局、XもYも破産させられてしまうケースもあります。
なかなかうまい話はないので、
コンサルタントや
弁護士に乗せられないように気を付けましょう。

先ほどのケースで、事業の再建をするには、
任意か民事再生手続などにより、
少なくとも過半数の債権者の同意を取らないと、
なかなか難しいです。 


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2011年3月8日(火)

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