弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第634回
借金を減らして営業継続するなら

借金を減らして、
営業を継続するなどという
うまい話は、そうそうないというお話をしました。

しかし、借金を全部無くして営業を継続するのは無理ですが、
大部分を減額して、営業を継続する手段はあります。
これが、民事再生手続や会社更生手続です。

上場会社が倒産して、
会社を再建するために取られる法的手続としては、
会社更生手続の方が多いので、
みなさんは、会社更生法や会社更生手続の方が、
馴染みがあるかもしれません。

現在も、武富士やJALなどが
会社更生手続により会社の再建を図っています。
民事再生手続と会社更生手続は、
法律的な手続には、違いがありますが、
借金や支払いを大幅に減額して、
会社の再建を図ることを目的とする手続であるということは同じです。

おおまかに言うと、営業で利益が出て、
その利益で減額した残りの債務を支払う見込みがあり、
債権者の過半数の賛成が必要となります。
(可決の要件は、厳密に言うと単なる過半数ではありません)

債権者は、自分の貸金や売掛金を大幅な減額して払う
という債務者の提案に賛成することはあるのかと
疑問を持つ人も多いと思います。

賛成を得られない場合もありますが、
結構得られる場合も多いです。
それは、民事再生や会社更生が可決しないと、
その会社は通常破産してしまうことになります。

そうなれば、支払金額は、全く無かったり、
民事再生や会社更生の場合より少なくなったりしてしまいます。
 
債権者としては、
民事再生や会社更生に賛成するのは嫌だけど、
破産されるのは、もっと困るという、
よりマイナスの少ない方を選択せざるを得ません。

そこで、大幅な支払いの減額の提案にもかかわらず、
債権者は賛成することが多いのです。 


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2011年3月10日(木)

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