弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第640回
敷引特約は高すぎなければ有効です

前回から、最高裁が、
敷引特約は有効としたという話をしています。

さて、敷引特約というのは、
主に関西地方の賃貸借契約でよく記載されているもので、
借主が物件を借りるときに、
貸主に対し、保証金や敷金を預けます。

契約が終了する際に、
その保証金や敷金の中から、
一定の金額を差し引いて、
返還するという条項を、
「敷引特約」と言います。

通常、この敷引金額は、
賃貸借契約で物件を利用するにあたって、
物件に生じてくる傷み(これを「通常損耗」と言います)を
補修する費用に当てられています。

この通常損耗については、
借主が物を使用することによって生じる傷みは、
賃料によって賄われるものだから、
契約書に記載がなければ、
借主の原状回復の対象とはならず、
借主が費用を負担することがないとされています。

そこで、借主は、通常、費用を負担しなくてよいのに、
敷引き特約によって、
一方的に、借主が負担すると契約書に記載されているのは、
消費者である借主に不利だから、
消費者契約法により無効だと主張してきたのです。

しかし、今回の最高裁判決は、
賃料の額や礼金等他の一時金などを考えて、
敷引金が高すぎれば
消費者契約法により無効だけれども、
それほど高くなければ無効にはならないと判断しました。

そして、家賃月額9万6000円、
礼金等の支払いはなし、保証金40万円、
更新料1か月分、敷引金2年未満で21万円は、
それほど高くはないから、
本件の敷引き特約は有効だと判断しました。

貸主にとっては、朗報ですが、
借主にとっては、
ちょっと残念な判決だったかもしれません。


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2011年3月31日(木)

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