弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第686回
契約内容にあまり文句を言うと

弁護士の仕事の1つに、
これから結ぼうとしている契約書の内容のチェックがあります。

万が一のことに備えて、
その万が一のことが起きた場合の
ルールを定めておくのが契約書です。

そこで、弁護士としては、どういうものを保証し、
万が一、どういうことが起きたら、
どう処理するかということを、
契約書に定めてもらった方が良いということをアドバイスします。

しかし、契約書に、万が一のときの処理について、
契約内容に入れようとすると、
万が一のときが起きたら、そのときに話し合えばよいから、
そんな規定を入れる必要はないと言われることがあります。

契約書で定めてあっても、
話し合いで解決できるのであれば、
話し合いで契約書と異なる内容の解決をすることは可能です。

話し合いで解決できない場合に契約書の内容によるために、
契約書でルールを定めておくわけです。

だいたい、トラブルになるときは、
お互いの信頼関係はなくなって、
話し合いで解決できないときなのです。

だから、万が一のときは話し合って解決すればよいから、
契約書に定めなくてもよいということにはならないわけです。

しかし、こちらの主張が合理的だとしても、
相手が承諾しなければ契約は進みません。

あまり、万が一のことにこだわると、
相手からそんなにこちらを信頼しないのなら、
取引をしないと言われることもあります。

契約を結ぶときは、万が一のリスクと、
取引するメリットとを比較して、
こちらの言うことが正しいし、
こちらがリスクを負うとしても、
それを引込めなければならないときもあるのです。
しかし、そのときは、万が一のときは不利になります。

こちらに必ずしも契約を結ぶ必要がないというのであれば、
絶対にリスクを負わない内容の契約を主張することが可能です。

契約内容の交渉は、
相手と自分の契約の必要性や立場によって違って来るので、
その都度柔軟に対応する必要があると思います。


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2011年9月29日(木)

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