弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第688回
お金を出すリスク

みなさん、お金を貸したり、
お金を投資したりということを、相手を信用し、
比較的安易にされる方も多いことと思います。
しかし、出したお金を取り戻すのは、
容易なことではありません。

まず、法律上、出したお金を戻してもらう権利があるのか
はっきりしないこともあります。

例えば、投資の契約だとします。
いつ、誰に、どのような目的で、
いくら、支払ったかということを明確にする必要があります。

そして、いつ、どのようなときに、
投資したお金を返してもらえるのかが
明確になっている必要があります。

これらが不明確だと、投資したお金の返還を要求するのに、
法律上返還請求権があるのかどうかがわかりません。

投資の場合、支払ったお金が
全額戻ってくるとは限らないのが普通です。

必ず、お金を出すときは、明確な契約書を交わしましょう。
信頼していたから交わさなかったということは、
後で、裁判で不利になるだけで、何にもなりません。

仮に、契約書上、これらの返還については、
明確になっていたとして、相手の支払能力という問題があります。

現在の法的手続では、
お金のない人というか、
どこに自分名義の財産があるかわからない人に対しては、
裁判で勝ったとしても強制的にお金を回収することはできません。
詐欺の被害者等は、ほとんどが泣き寝入りです。

だから、お金を出そうとしている相手が、
どこにお金(財産)を持っているか、
万が一のときは、どうやって支払ってもらうかなど、
確認できなければ、その相手にお金を出すことは、
非常にリスクが高いこととなります。

お金を出そうとするときは、
弁護士に相談し、改めて、
お金を出すリスクについて説明を聞いて、
それでも、お金を出したいというのであれば、
リスク覚悟で出せばよいと思います。

通常は、お金を出すリスクを聞けば
お金を出すことは思いとどまると思います。


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2011年10月6日(木)

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