弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第694回
地震でも保険金が出る

みなさん、住宅などに
損害保険をかけている方も多いことだと思います。

通常の保険では、地震が原因の損害は、免責とされており、
保険金が出ないこととなっています。

そこで、地震が原因で発生した損害に備えるためには、
地震保険に加入しなければなりません。
しかし、地震が原因であれば、
震度1や震度2のような小さな地震でも
保険金が出ないのかというと、それもおかしい気がします。

では、通常の保険で、どのくらいの大きさの地震なら、
保険会社が免責され、どの程度であれば通常の保険でも
カバーできるのか、このことが、裁判で争われました。

地震は、今回の東日本大震災。
場所は、震度5強の東京都内です。

東京都内のマンションで起きた水漏れ事故について、
保険会社は、地震による水漏れなので、免責され、
保険金は出ないと主張しました。

これに対し、裁判所は、
「震度5強程度の揺れは、通常想定されており、
免責は認められない」と判断しました。

「水漏れの原因は、地震によるものではなく、
配水管の劣化による」ので、
地震が原因で水漏れが生じたとは言えないと判断したようです。

朝日新聞の記事に基づくので、正確な事実関係はわかりませんが、
他のマンションでは、
地震が原因で水漏れが生じていないのに、
このマンションだけ水漏れが生じたということなので、
そういうケースでは、
地震による水漏れとは言えないと判断したものと思われます。

確かに、都内で地震後水漏れが相次いだ
というニュースはありませんでしたからね。

地震のときに発生した損害で、
地震だから保険金は出ないと言われている方は、
本当に地震が原因なのか確認してみたらよいかもしれません。
 
「地震と保険」とは全然関係ありませんが、
今週発売の「SAPIO」と「月刊宝島」で、
暴力団排除条例について、僕がコメントしています。


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2011年10月27日(木)

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