弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第702回
株の過半数を押さえた方が勝ち

先日、コラムを書いた巨人の問題で、
巨人の経営幹部(役員)間の内紛は、裁判に発展しそうです。
元球団代表の権力者に立ち向かう勇気ある行動という報道もありましたが、
問題にする対象と方法を誤ったような気がします。

一般論として、会社経営においては、
株の過半数を押さえた方が勝ちなのです。

株主総会では、通常、過半数の議決権により、
役員を選任でき、決算を承認することが可能です。
したがって、株の過半数を押さえれば、
自分の意向を聞く代表取締役を始めとする取締役を選任できるのです。

前回お話ししたとおり、選任だけでなく、
株の過半数を押さえれば、解任も自由にできます。

巨人軍の株は、読売新聞社(正式には「読売新聞グループ本社」)が
100パーセント持っているようです。
とすれば、その株主権を自由に行使できる読売新聞社の代表取締役が、
巨人軍の代表取締役から平取締役まで、自由に選任できるのです。

だから、人事のような経営者の裁量事項のようなところで戦っても、
少数派は、あまり勝ち目がないわけです。
 
球団代表も、今回のコーチ人事の問題を、
取締役会で、話し合っても、
取締役の多数派は、最高権力者側に立つので、
自分の意見が通らないと思っていたので、
取締役会に諮らず、いきなり記者会見という方法を取ったのかもしれません。
 
しかし、それは、コンプライアンス違反を問題にする本人が
会社の経営に関することは取締役会に諮るという
会社運営の基本的なルールを破ることとなり、
自らがコンプライアンス違反を犯していることとなってしまい、
相手に付け入る隙を与えてしまいます。

やるのであれば、コーチ人事について、
聞いていないと言ったことが名誉棄損になるので
損害賠償請求訴訟を起こし、
それを記者会見で説明するくらいでしょうか。

読売新聞社の株主総会で、
代表取締役の適正を問うという方法もありますが、
読売新聞社は、非上場で、株を取得するのも難しく、
株を持っていたとしても、上場企業と異なり、
多数の浮動株(一般株主)がいるわけではないので、なかなか難しいようです。

やはり株の過半数を押さえられていると、
明確な違法行為がなければ、不合理なことがあっても、
戦ってそれを是正するのは難しいのです。


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2011年11月24日(木)

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