弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第701回
巨人の球団代表が解任されました

先日、コラムを書いた巨人の問題で、
記者会見を開いた専務取締役球団代表兼・
ゼネラルマネージャーが解任されたようです。

この解任、報道によると何を解任されたのかはっきりしませんが、
球団代表も、ゼネラルマネージャーも、取締役も解任されたようです。

新人事には、元球団代表は、
取締役としても入っていないようなので、
取締役も解任されたと判断しました。

解任理由は、先日、僕がコラムで指摘した
(1)取締役会等を開かずにいきなり記者会見をして
業務に支障をもたらしたことや
(2)球団等のイメージを悪化させたこと、
(3)人事という機密情報を事前に暴露してしまったこと、
(4)球団に対決姿勢を見せ反省がないこと、
(5)辞任と引き換えに会長の辞任を提案し、
かつ、監査役の地位を要求したことなどだそうです。

細かい事実関係はわかりませんが、(1)、(2)、(3)が
解任の相当の理由になる可能性は十分あると思います。

僕としては、コンプライアンス違反の重大な疑いがあると
記者会見をせざるを得ないようなことだったのかどうかと疑問に思っています。

さて、今回の解任は、何をどういう手続きで解任されたか
報道でははっきりわかりませんが、
何と、取締役の解任は、株主総会で、決議すれば、
いつでも、正当な理由がなくてもできるんです。
会社法の339条にそう書かれています。

だから、元球団代表は、解任を不当だとして争うようですが、
従業員の解雇とは違って、
取締役の解任を株主総会で決議されてしまったとすれば、
解任の無効を主張して、取締役に戻ることはできないのです。

では、取締役は不当に解任されても泣き寝入りかというと、
正当な理由のない解任の場合は、
会社に対して損害賠償することができます。

だから、元球団代表が巨人と争うのであれば、
解任は不当だから取締役に戻せではなく、
正当な理由のない解任だから損害賠償をしろ
という内容で争うしかありません。

この争いは、どうなるのでしょうか。
裁判にでもなれば、また取り上げたいと思います。


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2011年11月22日(火)

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