弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第705回
医師の優遇税制見直し?

医師と言えば、みなさん、お金持ち、
収入が多いと思う職業の1つでしょう。
その医師には、保険診療収入が5000万円以下の医師は、
実際の経費がかかっても、かからなくても、
経費率を57%から72%として、
経費を計算して申告できる特例措置があります。

この制度のメリットは、2つあり、
1つは、いちいち経費の領収書等をとっておく必要もないし、
それを記録する必要も無いことです。

もう1つは、実際にそんなに経費がかかっていなくても、
多く経費が計上できることです。

これは、1954年に導入されたということで、
そのころは、パソコンも普及しておらず、
決算処理にかなり手間ひまがかかるので、
医師1人でやっているような病院では、
治療に追われて決算などやっている暇がない
ということなどを考慮して設けられたのだと思います。

しかし、現在、85%の医師は、
実際の経費を計算していて、
前述の概算経費の方が得な場合のみ
概算経費を選択しているそうです。

要するに、決算処理に手間ひまはかけることができるけれども
得だから、概算経費の方を選択している
という医師がほとんどということなのです。

そうなると、当初の
医師に決算に労力をかけず、
治療に専念してもらおうという目的は、
不要ということになります。
そこで、会計検査院は、財務省に見直しを求めたようです。

時代が変われば、
当初の目的の有効性がなくなるということは良くあります。
国の財政が厳しい状況では、
比較的収入に恵まれている医師に、
決算処理の負担を求めても良いのではないかと思います。

ただ、15%の医師は、
実際の経費を計算していないようなので、
その方たちは、治療が忙しくて、
経費など計算している暇もないのかもしれません。
例えば、医師が1人しかいない地域などで開業している人は、
治療で忙しくて、
経費などの処理をしている暇はないかもしれません。

しかし、通常は、事業を行っていれば、
自分の事業の収支がプラスかマイナスかは、
計算しない人はいないと思いますからね。
見直しは、仕方ないと思います。

弁護士は、医師に比べると政治力が弱いせいか、
このような優遇制度はありません。


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2011年12月6日(火)

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