弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第718回
退職すれば退職金がもらえるか?

前回、会社が従業員に
退職後2年間は競合他社へ就職することを禁止する
競業禁止規定が有効かという話をしました。

最近出た判決が、
競業禁止に違反した場合は
退職金を払わないというケースだったことから、
それに関連して、今回は、退職金についてお話しします。

会社を辞めたら当然
退職金がもらえると考えている方も多いかもしれません。

しかし、退職金は、給料と違って、
働けば当然もらえるというものではありません。

雇用契約あるいは就業規則などに、
退職金について規定がなければ退職金はもらえないのです。
 
中小企業などでは、
明確な退職金に関する契約や規定がないというところも多いです。

でも、従業員が退職するときに、
経営者が裁量で支払っているケースもあります。

この場合、従業員が辞めたときに、
会社に対し、退職金を請求できるかは、微妙です。
 
会社に退職金を支払うルールがあったとも言えるし、
なかったとも言えるからです。

このようなケースでは、
過去の従業員は全員退職金をもらったか、
退職金額は一定のルールに基づいていたかなどの事実から、
退職金は全員に一定のルールで支払われていたと認められれば
退職金の請求が認められる可能性があります。

ただ、こういうケースでは、
やってみないとわからないということになります。

自分が退職金をもらえるかどうか心配な人は、
会社に退職金のルールがあるか
確認しておいて方が良いかもしれません。
退職金を気にすることは会社を辞めることが前提なので、
なかなか会社に聞くことは難しいですけどね。


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2012年1月26日(木)

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