弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第719回
買った商品は返せないはずですが

みなさん、一度買った商品は、
キズがあったり、壊れていたりするなど、
商品に欠陥がない限り、返品できないということは、
当たり前のことでよくご存知だと思います。

しかし、一度買った商品を正当な理由がなく
返品してはいけないということを、
わざわざ禁止している法律があります。

それが、「下請代金支払遅延等防止法」、
通常「下請法」と言われています。

この下請法は、下請けは、
注文主である大手企業から仕事が来なくなることをおそれて、
大手企業が、無理を押し付けてきても、
言いなりになってしまうことから、
大手企業が無理を言わないよう法律で禁止しているのです。

その無理の1つが、不当返品です。
不当返品というのは、商品の販売業者が、
一度下請けから商品を買っておいて、
売れ残った場合に下請けに返品して、
その分の代金を支払わないというものです。

買った商品は売れ残れば、
本来、買った方の損になるものです。
しかし、返品することにより、
大手の販売業者は損せずに済み、
下請けである納入業者が損をすることとなります。

下請法違反は、中小企業の経営を悪化させることから、
公正取引委員会や
中小企業庁などが取り締まりに力を入れています。

そこで、最近、大手の紳士服販売業者や
靴の販売業者、お菓子の卸業者など、
有名な会社が相次いで下請法違反で、勧告を受け、
その旨テレビや新聞で報道されました。

逆を言えば、大手企業も、今の経済環境が厳しいので、
自分の利益を確保するために、
下請企業に損を押し付けようとしているのかもしれません。


←前回記事へ

2012年1月31日(火)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ