弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第720回
携帯電話レンタル業者に詐欺の責任

先日、珍しい判決が出ました。
事案の内容は、次のようなものです。
ある女性が、すごい人気のある株を買えると、
投資コンサルタント会社に騙されて、
株購入代金300万円を取られてしまいました。

この勧誘には、レンタル携帯電話が使用されていました。
そこで、女性は、投資コンサルタント会社の他に
携帯電話レンタル業者も相手取って、
損害賠償請求を求める裁判を起こしました。

これに対し、裁判所は、何と、
携帯電話レンタル業者に賠償責任を認める判決を出したのです。
 
新聞の内容では、判決の内容が全部わからないのですが、
携帯電話を貸し出す際に、
本人確認の証明書が偽造されていないかどうか
慎重に調べる義務があり、これを怠ったから、
責任を認めたということのようです。

女性と携帯レンタル業者との間には、
契約関係がありません。

契約関係がないけれども、賠償責任を負う場合を、
「不法行為責任」と言います。

この不法行為責任を負う場合は、
自分の落ち度で損害が発生すると予見できる必要があります。

携帯電話を借りる際に、偽造の証明書を出して来る人は、
詐欺を行うとまで、予見できると言えるかどうか、
なかなか難しいところだと思います。

裁判所は、これだけレンタルの携帯電話が犯罪に利用されており、
偽造の証明書を出してまで携帯電話を借りる人は、
何か違法な行為に利用すると
予想すべきだというのかもしれません。

この判決が確定するのか、
携帯電話レンタル業者が控訴するのかわかりませんが、
携帯電話レンタル業者には、
かなり厳しい判決だと思います。


←前回記事へ

2012年2月2日(木)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ