弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第734
賃貸では、原状回復が問題に

HiQを読んでいるみなさんは、
投資に興味がある方が多いので、
不動産投資、即ち、ビルやマンションの
賃貸をしている人も多いと思います。

賃貸は、事務所でも、店舗でも、住居でも、
いつかは物件を返してもらうこととなります。
そのときに問題となるのが原状回復です。

借主は、使用中に借主が、物件を汚したり、
壊したりした場合はその部分を修理して返す必要があります。

店舗や事務所では、借主が行った内装工事を
借りたときの状態に戻す必要があります。
これが「原状回復」義務です。

借主が原状回復をしないで、物件を返したときは、
貸主は、敷金や保証金から、
原状回復にかかった費用を差し引いて返すことができます。
敷金や保証金で不足する場合は、
不足分を借主に請求することもできます。

しかし、裁判で、汚れた、壊れたなどの主張立証責任は、
貸主にあります。
したがって、貸主は、借主の原状回復義務を主張するときは、
貸したときの物件の状況と
返してもらったときの物件の状況を証明する必要があります。

貸したときの状況と
返してもらったときの状況についての証拠がないと、
裁判では、負けてしまう可能性が高いのです。

例えば、返してもらったときの、汚れたり、
壊れたりしていた状況について、
写真などを撮らずに、貸主の方で修理してしまうと、
借主が汚したり、壊したりしていた
という証拠がなくなってしまいます。
くれぐれも注意してください。

原状回復義務についての相談で、
返還時の写真を持って来る方は比較的多いですが、
写真など貸したときの状況を示す
証拠を持って来られる方は少ないです。

しかし、原状回復の裁判では、
最初から汚れていた、最初から傷ついていた
などと言われることも多いです。

特に、事務所や店舗では、
前の人が使って明渡したときのままだったと
言われることも多いので、
貸したときの状況を写真やビデオに撮っておいたり、
貸したときにどういう状態だったか
確認書にサインをもらったりしておいた方が良いと思います。

物件を返してもらうときに、
原状回復が必要な箇所の確認書に
サインをもらうのも良いと思います。


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2012年4月3日(火)

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