弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

邱さんの思い出

僕が邱さんと知り合ったのは、
多くのみなさんと同じで、インターネットです。

邱さんが糸井重里さんのほぼ日刊イトイ新聞で
連載しているコラムを読んでいて、
その中で、邱さんが学校で学ぶ知識は
実際の社会で役に立たないものが多くて、
役に立つ知識を教える場、仮称「創業大学」を設けるので、
何かアイデアがある人がいたら、教えて欲しいという募集がありました。

当時、僕も大学での法律の勉強は、
実社会では直接役に立たないと考えていましたので、
みなさんに広く実社会に役に立つ
法律知識を教えられたらと思っていたので、
これに手を挙げたのです。

それから10年、邱さんと何度か直接お会いさせていただきました。
邱さんは、いつも笑顔でにこやかに、
そして、まだ若い僕に対しても、
「丁重に」という言葉がぴったりな対応をしてくれました。

それは、HiQの創業大学のコラムの応募をして
初めて会った時から最後にお会いした時まで変わりませんでした。

僕が、邱さんに最後にお会いしたのは、昨年の7月でした。
そのときは、まだまだお元気で、77歳で死ぬはずが、
そこから10年以上生きているというお話をされていました。

その際に、邱さんのこれまでの著作の中から
好きなものを選んで持って行っていいと言われ、
ずうずうしくも邱さんの著作の中で最も長いと思われる
「西遊記」を希望して全巻をいただきました。

今となって思えば、これが邱さんの形見となりました。
邱さんがそのときに僕に書いてくれた言葉が
「道という道は天竺に通ずれば、孫悟空よ、出鱈目に行け」
でした。

僕は、もともと固定観念に囚われず、
良いと思ったことは、相手がだれであろうと言ったり、
したりしてしまう方で、
邱さんにそのことを肯定してもらったような気がしました。

今後も「出鱈目に」行きたいですね。
みなさんもそうでしょうが、僕も、
邱さんの先を見通した含蓄のある話がもう聞けないと思うと、
残念でなりません。


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2012年5月28日(月)

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