弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第749回
保証人制度は廃止すべきか

保証人制度を廃止しようという動きがあるようです。
保証人とは、みなさんご存じのとおり、
債務者が支払うことができない場合、
代わりに債務(借金)を払う人です。

廃止しようという理由は、「迷惑をかけないから」と言われて、
簡単に保証人になってしまい、
いざ、債務者が破産などして支払えなくなったときに、
保証人が多額の債務を背負ってしまうという被害が出やすいから
ということです。
債務者は破産してしまうと、
保証人は債務者からはお金は取れません。

保証人が財産を持っていなければ
保証人も破産すれば済みますが、
保証人が自宅などの財産を持っていると
丸ごと持って行かれてしまいます。
保証人制度というのは、保証人にとってリスクの高い制度なのです。
だから、廃止しようというのが廃止賛成派の意見です。

金融機関やマンション、アパートの貸主は、
廃止反対なのではないでしょうか。
廃止反対の理由は、なぜ保証人を取るかと言えば、
十分な担保あるいは収入がないからです。
収入は、最初はあっても減ったり無くなったりします。

すると、お金は貸せないし、
マンションやアパートも安心して貸せません。
保証人を付けてもらえることで、
本来貸せない相手に、お金を貸したり、
マンションやアパートを貸したりできるわけです。

保証人制度が廃止されれば、
十分な担保のある人にしかお金やアパート、
マンションを貸せなくなってしまい、
経済活動に支障が出てくるというのが、
保証人廃止反対派の意見です。
保証人制度を廃止してしまうと、
かえって、お金やマンションが
借りられなくなる人が増えてしまって
不便になってしまうおそれがあるというのです。

僕個人としては、保証人が
リスクのある制度だと理解している人は
あまりいないようなので、廃止してもやむを得ないかとも思います。

しかし、そうすると保証人を取れないことで、
損をするお金を貸した人や
マンションを貸した人が出てくると思われます。
そうすると、なかなかお金や
マンションを貸す人が少なくなってしまうのかなと、
ちょっと不安に思います。


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2012年5月29日(火)

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