弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第751回
弁護士役女優が読み間違えた遺留分減殺

先日のコラムで紹介した弁護士のドラマ「リーガル・ハイ」。
この中で、弁護士役の女優さんが法律用語を読み間違えて、
そのままオンエアされてしまいました。

性格は悪いけれども優秀な弁護士と、
正義感は強いけれども
弁護士としてはまだまだの新人弁護士の掛け合いが売りなので、
新人弁護士がわざと間違えて、
そこを主人公の弁護士が読み方が違うと
突っ込むかと思いましたが、
そのままスルーされていました。

その法律用語とは、「遺留分減殺請求権」、
みなさん、読み方がわかりますか?

僕のコラムをよく読んでいる方は、
このコラムで取り上げたことがあるので、
読めるかと思います。

ドラマでは、「いりゅうぶんげんさつせいきゅうけん」
と読んでしまっていました。
しかし、「いりゅうぶんげんさいせいきゅうけん」と読みます。

法律用語では、「相殺」のときも、
「そうさつ」ではなく、「そうさい」と読みます。

ちなみに、「遺留分減殺請求権」は、
遺言や贈与で、特定の相続人に
多くの財産が与えられてしまったような場合に適用され、
「遺留分」は、最低限保証される相続分です。

遺留分は、配偶者や子供は法定相続分の2分の1となります。
相続人が配偶者、子供3人の場合、
長男に全部相続させる遺言があったときには、
配偶者は法定相続分の2分の1の2分の1、
即ち、4分の1が遺留分となり、
長男以外の子供は、法定相続分が6分の1ですから、
その2分の1である12分の1が遺留分となります。

ドラマでは、子供3人だけの相続でしたから、
3分の1の2分の1である6分の1が遺留分となり、
6分の1について遺留分減殺請求が行使できるというところでした。

さて、ドラマの「落ち」は、
全ての子供に全財産を相続させる
という遺言を書いていたけれども、
最終的に、すべての子供よりも
最後まで自分の面倒をよく見てくれていた従業員に対し、
全財産を相続させる遺言を書いていた、というものでした。

高齢の方が、自分の面倒をよく見てくれた人に、
その都度遺言を書くということは、
実際上珍しくありません。
僕が過去取り扱ったケースでも、
全く別の人に3通書いていたというものがあります。

もちろん、遺言は
最終的に書いたものが優先することとなります。


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2012年6月5日(木)

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