弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第755回
司法書士ができるのは140万円まで

司法書士が逮捕されました。
理由は、弁護士でないのに大手消費者金融に対し、
利息の払い過ぎ分、いわゆる過払金の返還交渉を行った容疑です。

しかし、みなさんは、司法書士も、弁護士と同じように、
交渉や裁判をすることができるようになったのだから、
逮捕されるのはおかしいのではないかと思いませんでしたか。

実際、電車やインターネットなどの広告には、
法律事務所だけでなく、司法書士事務所のものもあり、
司法書士事務所広告にも
過払金の返還請求の依頼を受けることが書いてあります。
それなのに、司法書士が逮捕されてしまった理由は、
金額にあるのです。

司法書士は、簡易裁判所の代理権しか認められていません。
簡易裁判所と地方裁判所の区別は、
請求額が140万円までか、140万円を超えるかにあります。

請求額が140万円以内であれば簡易裁判所、
140万円を超えると地方裁判所での裁判となります。
したがって、司法書士の代理権は、
140万円までと考えられています。

そこで、過払金の返還請求の交渉も、
司法書士は140万円までの事件しかしてはいけないとされています。

今回の違反容疑は、それにもかかわらず、
司法書士が140万円を超える過払金返還請求の
交渉をしていたということなのです。

みなさん、司法書士は、取り扱える金額に制限がありますので、
注意してください。


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2012年6月19日(火)

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