弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第764回
最終的には裁判

世の中にいろいろ揉め事があります。
話し合いで解決できればそれに越したことはありません。

裁判になれば弁護士費用はかかるし、
昔のことを細かくいろいろ思い出したり、
証拠を揃えたりして、弁護士に説明し、
相手の言うことにいちいち反論しなければならなくなります。

これらは、事案によってはとても、労力がかかり、
精神的にも負担が重いです。

したがって、話し合いで裁判の前に解決できれば
その方が良いに決まっています。

しかし、実際は、一方が自分の言い分は正しいと思っていたり、
逆に一方が合理的な解決案を示しても
相手が欲を出してそれでは飲まなかったりするということは、
往々にしてあります。

相手が正しいと思いながら、
裁判外の交渉では相手の請求に応じないということもあります。
そういう場合は、日本においては、というか通常の法治国家では、
裁判をする他ありません。

自分の言い分を実現するには、
裁判所から判決というお墨付きをもらって
初めて実現が可能となるからです。

法治国家では、例えば、
お金を払わない相手の財産を押さえて換金することや、
賃料を支払わない相手を店舗から立ち退かせることなど
自分の権利を実現する場合、
まず、裁判をして、裁判所に判決でその権利を認められて、
さらに、裁判所の手続に従って、実現する
という手続を取らなければなりません。

いくら自分が正しいと思っても、
自分の判断で、勝手に相手の物を取ったり、
相手の店の立ち退きを行ったりすることはできないのです。

だから、揉め事に巻き込まれた場合、
相手の言い分が間違っていて自分が正しくても、
任意の話し合いで解決がつかなければ
最終的に裁判となります。


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2012年7月24日(火)

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