弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第768回
安売りが法律違反?

みなさん、安売りは、
売り手の自由競争であって、
顧客にもメリットがあることから
良いことだと思われていませんか。

しかし、先日、ビールの大手の卸売会社が、
公正取引委員会から、ビールを安く売り過ぎているという理由で、
独占禁止法に違反するから止めるよう警告を受けました。
安売りも、安すぎると法律に違反することとなるのです。

安すぎる安売りは「不当廉売」(ふとうれんばい)
と呼ばれています。

安売りを規制していると言っても、
普通の安売りを規制しているわけではありません。
原価割れをするような場合を、
不当に安すぎるとして規制しているのです。

原価割れで企業が商品を売るわけはないと思われるでしょうが、
資金力のある大企業が商品を原価割れで販売するとします。
そうすれば顧客は安い原価割れの商品を買うでしょう。

すると、原価割れで商品を売る資金力のない企業は、
競争に負けて、倒産などして市場から撤退することになります。
そうすると結局は、
資金力がある企業のみが市場に残ることとなります。

このような結果は、公正な競争とは言えず、
市場から様々な企業が消えてしまい、
顧客にとっては、選択の幅が無くなり、
かえって不利益を受けることになってしまいます。

そこで、不当な安売りを、
独占禁止法で禁止しているのです。

このような理由で、今回、ビールの安売りについて、
公正取引委員会が止めるよう警告したのです。

安売りが法律に違反する場合もあるのです。


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2012年8月9日(木)

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