第32回
「人脈」は金で買え(1)

中国ビジネスを進めるに当たっては、
人脈を築く事が非常に大切である、とよく言われます。
これは確かにそうなのですが、外から来た日本人が、
中国で単なる知り合いではない、
本当の「人脈」と言えるものを築くのは、
至難の業かと思います。
我々日本人は「人脈」を持った中国人の人と知り合いになり、
その人に「人脈使用料」を払って「人脈」を使わせて頂くのが、
合理的な方法であると思います。

なぜなら、自分で「人脈」を開拓する事も大変ですが、
そのメンテナンスには
更に多大な時間と労力とコストが掛かるからです。
又、「人脈」を持っている側の人達も、
その「人脈」を、今まで費やしてきたコストと労力に
見合うお金に換えたい、と思っています。

「人脈」の中でも重要なのは、
政府機関の人間との「人脈」です。
中国ではこれを「関係(ぐゎんし)」と呼びます。
政府機関に「関係」があるかないかで、
許認可が取れたり取れなかったり、という事がよくあります。

実際、私が開業して間もない頃、
ある日系企業の方から許認可の事で相談を受けました。
その企業は既に北京に事務所を設立し、
後は許可証さえ取れれば営業開始、
という所まで来ていましたが、
許可証の申請に行った所「政府の政策が変わり、
新規申請分に関しては許可証を出さない」
という事で断られてしまいました。

その企業にとってはこの許可証は中国事業の大前提であり、
この許可証が取れない場合、
同社は中国事業自体を諦めなければなりませんでしたので、
北京の所長は非常に焦っていました。

私は許可証を発給する政府機関に「関係」を持つ
知り合いの弁護士に許可証の取得を依頼しました。
弁護士はその政府機関の「関係」を使って、
許可証を発給する部署の司長と処長を紹介してもらい、
何度かの宴会を経て、見事、「例外」という事で、
同日系企業に対する許可証を発給させました。
私には到底まねの出来ない芸当です。

この続きはまた次回。


←前回記事へ 2003年1月13日(月) 次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ