第66回
シャレードなんか中国に持って来やがって、バカにしてんのか!

もう一つ、タクシーの運転手さんから良く聞く話は、
「シャレードなんか中国に持って来やがって、バカにしてんのか!」
という話です。

シャレードは、大発(だーふぁー、ダイハツ)が技術供与をして、
天津の天津汽車が生産しています。
北京のタクシーの4割ぐらいは、このシャレードです。
運転手さんによれば、
シャレードは日本で売れなくなったので、
中国に持ってきた、らしいのです。
中国人はどうせそんなに高い車は買えないから、
日本で売れなくなったシャレードでも作って売っとけ、
という事か、バカにしてんのか!、という事です。

更に悪い事に、そのシャレードが
とても日本車とは思えないぐらいに作りが悪く、
冬になると薄い鉄板の間からすきま風が車内に入り、
ものすごく寒い、という様な車なのです。
関係者の話を聞くと、ダイハツは技術供与しただけで、
コストを落とす為に鉄板を薄くしたりしたのは、
天津汽車が勝手にやった事らしいのですが、
「ダイハツ・シャレード」という名前が
付いてしまっているからには、
中国の人達は日本の車としか見てくれません。

中国の人達はプライドが高く、新し物好きです。
フォルクスワーゲンも最初は
型落ちのサンタナやジェッタを生産していましたが、
最近では、アウディA6、パサート、ボーラ、ポロなど、
新車種をどんどん投入しています。
中国市場を重視するなら、
「世界同時発売で中国も」は当然、更に突っ込んで、
「世界に先駆けて中国で発売」ぐらいの勢いで攻めた方が、
中国の人達のプライドや新し物好きの性格を
くすぐるかもしれません。

例えば、現在、北京〜上海間の高速交通システムとして、
日本の新幹線とドイツのリニアモーターカーが
熾烈な争いを演じています。
総合力から言ったら、日本の新幹線が有利、と聞いていますが、
上記の様な観点から見ると、改良され続けているとは言え、
40年も前に日本で開発された技術を
今更国家の大動脈に採用したくない、という気持ちは、
非常に良く分かります。
それに対してリニアは昨年末に開通した
上海市街と浦東空港を結ぶ30kmの路線が
世界初の実用線、というぐらいですので、
1,000km以上離れている北京〜上海間をリニアで結べば、
世界に誇る路線になる訳です。

中国でのビジネスは、
こうした中国の人達のものの考え方を良く理解し、
うまく利用していく事が大切です。


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