第67回
これでも渋滞するの!?

マイカーブームにより、北京の車はどんどん増えています。
それに従って、渋滞も日に日にひどくなってきています。

北京に来られた事のある方ならお分かりになると思いますが、
北京の道は中国の他の都市に比べても、
非常に広く作られています。
更に、北京の環状線は東京の環七や環八と違って信号がありません。
全て高架かトンネルになっていますので、
理論的には渋滞は起きないはずです。

それでも渋滞がひどくなり始めたので、
昼間の市街地へのトラックの乗り入れを禁止したり、
北京のメインストリートである長安街には、
マイクロバスや空車のタクシーの乗り入れを禁止したりしています。

一方で新しい道路の建設も急ピッチで進んでいます。
中国では土地は国家のもので、そこに住んでいる人は、
その土地の使用権を買っているだけですので、
国家に「ここに道路を作るからどけ!」と言われれば、
無条件で立ち退かなくてはなりません。
中国では「立ち退き交渉」の必要が無いため、
何十年経っても輪っかにならない東京の環八とは違い、
北京の環状線は総延長が100kmを超えるものでも、
1-2年もあればきれいな輪っかになります。
こういうのを目の当たりにすると、
国家の発展と個人の権利は
相反するものである事が良く分かります。

北京の道路はこれだけ渋滞しない条件が揃っているにも関わらず、
マイカーの増加には勝てず、渋滞は日に日にひどくなっています。
北京では今まで、郊外に大きな家を買って、
そこから毎朝マイカーで通勤する、というのが、
一種のステータスでした。
しかし、朝夕の渋滞がひどくなり、
マイカー通勤に膨大な時間が費やされる様になると、
人々の考え方も
「狭くても職場から近い市街地のマンションに住んで、
徒歩や自転車で会社に行く方がステータスである」
という風に変わるかもしれません。


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