第90回
中国人に任せない日本企業

ここに一つの矛盾があります。
中国の現地採用の日本人の就職戦線は狭き門なのにも関わらず、
日本企業が駐在員として中国に出す中国要員は不足している、
という事実です。

これは日本企業が
現地採用の日本人の質に疑問を抱いている為です。
確かに、北京に来る日本人留学生を見ていても玉石混交です。
高い志と明確な目的意識を持って勉強しに来る人もいれば、
いつも日本人同士で固まって、
どう見ても遊びに来たとしか思えない人たちもいます。
しかし、私の目から見ると、
北京で現地採用で働いている方々の中には、
へたな本社派遣の駐在員よりずっと優秀な人がたくさんいます。
日本企業が現地採用の人材の登用を考えず、
日本の人材派遣会社に高い料金を払って中国要員を探したり、
中国語が全く話せず、これから勉強する意欲も無い本社員を、
駐在員として中国に送ってくるのは、非常にもったいない話です。

こうした状況を考えると、
中国で働きたいと考える人は、現地で仕事を探すより、
日本で中国ビジネスをしようと考えている企業を探して、
駐在員候補という形で就職する方が、待遇も良いし、
責任のある面白い仕事を任される可能性が高いかもしれません。

日本企業の中国要員不足の背景には、
日本企業が「日本人駐在員による中国事業の経営」に
いつまでも固執しているから、という原因もあります。
事業の立ち上げ段階では、
自社の属する業界の構造を良く理解し、商品知識も豊富な
日本人駐在員が中国に来る必要があるかもしれませんが、
事業が立ち上がり軌道に乗った後は、
徐々に中国人幹部を育て、
中国での経営を任せていくべきなのではないでしょうか。

もちろん、会社や事業によって様々な事情がありますので、
一概には言えませんが、
多くの欧米系企業が
業界を問わずローカライゼーション(現地化)に成功し、
中国人の総経理(社長)や幹部たちに
現地法人の経営を任せているのを見ると、
決して不可能な事ではないと思われます。

欧米系企業で働く中国人スタッフは、
頑張って成果を上げれば現地法人の総経理になって、
今の10倍、20倍の給料を手にする事も夢ではありません。
自ずとスタッフのモラール(士気)も上がります。

一方、日系企業で働く多くの中国人スタッフは、
入れ替わり立ち替わり本社からやってくる日本人上司の下で働き、
10年働こうが、20年働こうが、偉くなる見込みは無く、
給料もそれなりにしか上がりません。
これでやる気を出せ、という方が無理な話です。

今後、日本企業が
中国の現地法人や駐在員事務所のコストを抑えようと思ったら、
ローカライゼーションを進め、
コストの高い日本人駐在員を減らすしかありません。
そうした意味で、今後、
優秀な中国人幹部候補生の確保、教育が
中国に進出した日系企業の
大きな課題になってくるものと思われます。


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