第101回
料理人の腕に頼らない仕組み

私は北京で四川料理を食べても、大変おいしいと思いますが、
四川省出身の人に言わせると、
北京の四川料理は「ニセモノ」だそうです。
本場四川省の四川料理の方が、ずっとおいしいそうです。

北京で最も本格的な「本物」の四川料理が食べられるのは、
「四川省政府北京事務所」の食堂と言われています。
ここは元々、四川省政府の駐在員の為の内部の食堂だったのですが、
本場の四川料理を北京の人たちにも広く知ってもらう、
という意図で、対外的にも開放した様です。
四川省政府北京事務所は、私が以前勤めていた
丸紅の北京支店から歩いていける所にありましたので、
時々、お昼ごはんを食べに行きました。
ここの四川料理は強烈に辛くて痺れるのですが、
確かにおいしいです。

聞いた話によれば、四川省政府の役人が、北京に駐在になっても、
ちゃんとおいしい四川料理を食べられる様に、
人気レストランの有名な料理人を強引に引き抜いて、
北京に連れて来たらしいです。
唐辛子も、北京の唐辛子では本来の四川料理の味が出せない、
という事で、わざわざ四川省から取り寄せている様です。
唐辛子は普通、細長いのですが、四川の唐辛子は丸いんですね。

こういう話を聞くと、
日本で本格的な四川料理のレストランを開こうと思ったら、
料理人は四川から連れて行く、
唐辛子も四川から持って行くのが一番良い、
という事になります。
日本で1店だけ四川料理のレストランを開くならば、
四川から料理人を1人連れて行けば良いのですが、
多店舗展開するとなると、料理人が制約要因となってしまいます。

どんな料理でもそうなのですが、中国料理の場合は特に、
料理人の腕がレストランの経営に与える影響が大きいです。
おいしくて大繁盛した中国料理のレストランが、
弟子にレシピを教えて支店を出させても、
支店は本店ほどおいしくなくて、余り繁盛しない、
というのは良くある事です。
多店舗展開する為には、日本のレストランチェーンの様な、
料理人の腕に頼らない仕組みの構築が必要です。

では、日本で四川料理のレストランを多店舗展開するには、
どうしたら良いのでしょうか。
私に秘策があります。
続きはまた明後日。


←前回記事へ 2003年6月23日(月) 次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ