第118回
ほぼ全員、持ち家派

マイホームが手に入って内装をした人は、
今度は家具を買いに走りました。
せっかくきれいに内装したのに、
家具だけが従来通りの汚くて古いままでは、
もったいないからです。
そこで、家具を新しく買う事もブームになり、
北京市内の三環路、四環路沿いには、
たくさんの家具屋さんを集積した
「家具城(じゃーじゅぃちゃん)」が何ヶ所も出来ました。

内装ブームや家具ブームが起こった当初は、
「豪華」という言葉のイメージをそのまま具現化した、
思いっきり「ロココ調!」という感じの、
重厚な色合いで、ごてごてとした装飾が付いた
内装や家具が好まれていました。
成金と同じで、生まれて初めて内装したり、
高級な家具を買ったりすると、
どうしてもそういう方向に行ってしまう様です。

しかし、最近はイタリアや北欧風の、
色が淡いシンプルでモダンなデザインが好まれている様です。
ここ3-4年で「家具城」に置かれている家具類の趣も、
随分変わってきました。

さて、国有企業以外の企業に勤めている人も、
住宅ローンの普及により、マイホームを買う人が増えてきました。
毎月の返済が家賃並みの住宅ローンを組めば、
完済後には「家」という資産が残るが、
賃貸の場合、何十年家賃を払い続けても、
最後には何も残らないので、
家は賃貸よりも住宅ローンを組んででも買った方が得だ、
というのが、ほぼ全ての中国の人達の考え方です。

私が公寓と呼ばれる外国人用マンションに住んで、
月10,000元(150,000円)の家賃を払っている、
という話をすると、
中国の友人達はみんな「信じられない!」という顔で私を見ます。
そして、「月1万元だったら、年間で12万元(180万円)、
10年間で120万元(1,800万円)もドブに捨てる事になるよ!
ローンでマンション買って10年間住み続ければ、
10年後には自分の資産になるんだから、
その方がずっといいじゃない!」とみんな言います。

私は借金が嫌いですし、金利を払うのも癪ですし、
短い人生いろんな所に住んでみたい、と思っていますので、
日本に住んでいる時からずーっと賃貸暮らしなんです。
国土交通省の調査によれば、日本では、
私の様にあえて賃貸を選択する「賃貸派」が
徐々に増えて来ている様ですが、
北京では実際に家を持っているかどうかは別にして、
考え方としては、ほぼ全員が「持ち家派」の様です。


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