第150回
日中間のIP電話サービス

「IT系」の会社は、
東京でIP電話の事業を行っている会社です。
この会社は天才技術者である社長が1人で切り盛りしています。
当社は同社が開発したIP電話サービスを、
中国に進出している日系企業に販売するお手伝いをしています。

IP電話のIPはインターネットプロトコルの略です。
通常の電話が
通話中は双方の間に引かれた電話線を占有するのに対し、
IP電話は音声を圧縮したパケットと呼ばれる信号を
インターネットを経由して相手方に送る為、
通話料を大幅に下げる事が可能となります。
東京から成田空港へ行くのに、
ハイヤーをチャーターして行くと高いですが、
リムジンバスや成田エクスプレス等、
他の人と空間をシェアする乗り物で行けば
安くなるのと同じ道理です。

中国から日本へ電話をかける場合、
通常の電話を使うと1分7.2元(108円)かかりますが、
このIP電話サービスなら
月700元(10,500円)の基本料金を払って頂ければ、
中国から日本全国どこでも一律1分1元(15円)で
電話をかける事が出来ます。
日本に電話をかける機会が多い中国の日系企業にとっては、
大幅なコストの削減になります。
現在は、試験的に日系企業の多い
北京、上海、大連でしかサービスを提供していませんが、
将来的には中国の他の都市でのサービス提供も検討しています。

ご契約を頂くと、メディアゲートウェイという音声圧縮装置を、
お客様のオフィスに引いてあるADSLに接続させて頂くのですが、
このメディアゲートウェイは何と!イスラエル製です。
天才社長によれば、
音声圧縮技術はイスラエルが世界で最も優れているんだそうです。
お察しの通り、この技術は軍事技術の転用なのですが、
人間、命が掛かると必死になるもので、
技術もすごい勢いで発達させてしまうんですね。

この仕事をしていると、
プロキシサーバーとかデフォルトゲートウェイとか、
コンピューター及びインターネット関係の用語を
覚えなければなりません。
更に、こちらの技術者は中国語しか話せませんので、
代理服務器(だいりふーうーちー、プロキシサーバー)、
網関(わんぐぁん、デフォルトゲートウェイ)など、
それらの用語に対応する中国語も覚えなければなりません。

根っからの文系人間の私には、初めて聞く言葉や仕組みばかりで、
最初は訳が分かりませんでした。
しかし、イスラエル人ではないですが、
人間、生活が掛かると必死になるもので、
今では、天才社長に
「中国のその辺のIT技術者より、柳田さんの方が知識が上だ」
と言って頂けるぐらいになりました。


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