第151回
「そこにいて気持ちの良い空間」

最後の「芸術系」の会社は、
丹青社という空間デザインの会社です。
この会社は日本の空間デザイン業界では最大手であり、
広告、デザインの世界では、知らない人はいない、
という会社です。
東証一部にも上場しています。

丹青社の「丹青」は赤と青という意味ですが、
古代の中国では画家の事を指したそうです。
丹青社の社名は、杜甫の七言古詩、
「丹青は知らず、老いの将に至らんとするを。
富貴は我に於て浮雲の如し
(絵を描く事に熱中して歳をとるのも忘れ、
世の中の富貴、栄華などは、
浮雲の様にはかないものだと思っている)」から来ています。
社名からして、根っからの芸術家の会社です。

空間デザインと一言で言っても、その範囲は非常に広いです。
同社は、博物館、テーマパーク、ショッピングセンターから、
オフィス、ショールーム、展示会のブースまで、
ありとあらゆる空間の企画・デザインから施工までを請け負います。
分かり易い所では、
恵比寿ガーデンプレイスのモニュメントや、
倉敷チボリ公園のランドマークタワーなどを手掛けられています。

当社は同社が中国に進出するお手伝いをしています。
中国は元々ある物とほとんど同じものを、
安く作るのは得意ですが、
全く何も無い所から、何かを創造するのはまだまだ苦手です。
空間デザインの世界でもそれは同じで、
中国のデザイン会社は、
日本やアメリカにある良いデザインのものを
模倣する事は出来るのですが、
今までに無い、
斬新且つ画期的なオリジナルのデザインを創造する、
となると、日本で長年にわたって
経験やノウハウを蓄積してきた丹青社には全くかないません。
実際、中国での活動を開始したばかりであるにも関わらず、
既に、丹青社のデザインは各方面から高い評価を得ています。

今後、中国がどんどん豊かになるに従って、
「そこにいて気持ちの良い空間」とか、
「また行きたくなる魅力のある空間」という概念に対する需要は、
どんどん大きくなって行くものと思われます。
そんな拡大する市場の中で、
日本での長年の経験やノウハウを持つ丹青社の
オリジナルデザインは高く評価され、
アイデアやデザインを安売りする事無く
市場シェアを拡大して行く事が可能なのではないか、
と私は見ています。


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