第163回
有能なマネージャー不足

会社を大きくしたり、「不労所得化」する為には、
有能なマネージャーの確保が必須です。
有能なマネージャーが事業を仕切ってくれて、
初めて老板は新規のビジネスを開拓したり、
休んだりする自由を得る事が出来ます。

しかし、ここ中国で有能なマネージャーを探すのは至難の業です。
優秀な人材はみんなすぐに自分で会社を興して、
自分が老板になってしまいます。

中国では会社勤めをするよりは、老板になった方が
ずっと大きなお金を手にするチャンスがあります。
こうした金銭的な面でもそうですが、ステータス的にも
老板は会社勤めの人より上、という認識があります。
アメリカではIBMの様な大企業の社員よりも、
その辺のグローサリーショップのオーナーの方が尊敬される、
という話を聞いた事があります。
IBMの社員はビジネスを所有していないが、
グローサリーショップのオーナーはビジネスを所有しているから、
というのがその理由です。
中国でもアメリカと同じ様に認識されています。

一方の日本では、
優秀な人材が大企業の中間管理職にたくさんいます。
私はこれらの優秀な中間管理職が、
日本企業の競争力の源泉であると思います。
中間管理職が優秀なので、トップがボンクラでも、
ちゃんと会社が回っているんだと思います。

日本では今、起業率を上げる為に、
経済産業省がボブ・サップを使って
「日本には挑戦者が足りない」と焚き付けたり、
最低資本金の縛りを外して、
1円から起業出来る様にしたりしていますが、
そんな事して、日本企業の優秀な中間管理職が
みんな起業しちゃったら、どうするんですか!
今の中国みたいに、有能なマネージャー不足になっちゃいますよ!

中国は有能なマネージャーが不足していますので、
事業のローカライゼーション(現地化)を進める欧米企業は、
高い給料を払って有能な中国人マネージャーを雇います。
企業によっては、本社と同じ給与体系で雇用する所もある様です。
日系企業もコストの高い日本人駐在員を減らして、
ローカライゼーションを進めなくてはいけない事は
分かっているのですが、
せっかく物価の安い中国に来ているのに、
という意識があるせいか、
現地採用の中国人マネージャーに高額の給料を払う事には
まだまだ抵抗がある様です。

有能な人材は、
起業するリスクと企業が提示する給料を天秤にかけて、
起業するか企業に勤めるか決めます。
ここ中国で老板が自分の右腕となる
有能なマネージャーを確保する為には、
他社が提示する給料の他に、
起業という選択肢とも闘わなくてはなりません。
老板がいつまでもがんばり続けて
ヘトヘトになっている会社が多いのも、
有能なマネージャー不足が
1つの原因になっているのかもしれません。


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