第162回
事業の「不労所得化」

「人脈起業」には前回お話しした
「リスクが高い」という問題点の他に、
「いつまで経っても
老板(らおばん、会社のオーナー)が楽になれない」
という難点もあります。
人脈がうまく作用して、商売が回り始めたとしても、
人脈のメンテナンスは従業員には任せられず、
いつまで経っても老板がやらなければなりません。

夜の接待は元より、商売が回り始めれば、
当然、「実弾」を打ち込まなければならない所も多々出て来ます。
とてもではないですが、
従業員に任せられる様な仕事ではありません。
事務仕事は従業員に任せる事が出来ますが、
事業の根幹である人脈のメンテナンスは、
ずっと老板が行う事になります。

実際、私が知っている「人脈起業」した個人企業の老板も、
夜は連日の様に接待、
地方の人脈メンテナンスの為に出張も多く、
いつ会っても憔悴しきっています。

ま、老板が人脈メンテナンスに奔走して、
それに見合う十分な利益が上がるならば、
それはそれで良いのですが、
私はリスクを張って起業したからには、
事業を「不労所得化」したいと考えています。
自分が働かなくても、事業がお金を生み出してくれる、
という状態が理想です。

「金持ち父さんのキャッシュフロークワドラント」
という本を読まれた方も多いかと思います。
「キャッシュフロークワドラント」では、
同じ起業でもSで表される自営業者と、
Bで表されるビジネスオーナーは、
まん中の線から右と左で分かれています。
右側はBとI(投資家)、左側はSとE(従業員)。
右側と左側の差は不労所得であるかないかです。

Sに属するのは弁護士、会計士、医者など、
それぞれ自分の会社を経営してはいるのですが、
自分が働かないと収入が得られない、という人達です。
もちろん弁護士でも、自分の事務所で弁護士を何人も雇って、
自分は働かなくても収入が得られる、
というBタイプの方もいるのですが、
個人で始めようとすれば、Sから始める事になります。

こういう分け方でいくと、
「人脈起業」した老板達もSに属する事になります。
Sに属する事の難点は、
老板がいつまで経っても楽にならない、という事もありますが、
老板の能力以上に会社が大きくならない、という問題もあります。


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