第169回
コリアンタウンインベイジン

企業派遣の駐在員では無く、
自分の意志で中国に来て働く日本人は現在、
どんどん増えていますし、
今後も更に増えて行くものと思われます。
それに従って、そうした日本人の
中国に対する意識も変化している様に思われます。

ほんの10年前まで、自費で中国に留学して来たり、
自分の意志で中国に来て働く様な人は、
よっぽど中国が好きな変わり者、という位置付けでした。
しかし、その分、中国に対する思い入れも強く、
中国に来る目的も明確でした。

今でも、明確な目的や意志を持って来ている人も多いのですが、
最近は日本が不景気で大学を出ても就職先が無いので、
大学を出たら取り敢えず今流行りの中国に留学して言葉を覚えて、
それでも日本の景気が良くならないので、
中国で就職する、という人が多い様です。

ま、それでも日本で不景気を嘆いて
いつまでも愚図愚図している人よりは良いのですが、
目的意識が希薄な人に限って、
留学してもいつも日本人同士でたむろして、
全然中国語がうまくならなかったり、
留学が終わっても中国で就職先が見つからず、
ビザが切れてしまうのでもう一年留学期間を延ばしたり、
という事になっている様です。

中国で働く日本人が増えている、と言っても、
日本大使館領事部によれば、
日本人の人口は北京で約1万人、
上海で約2万人しかいないとの事です。
更に、これらの日本人のほとんどが、
日本企業の駐在員とその家族、及び、留学生ですので、
自分の意志で中国で働いている人は、増えている、
とは言っても絶対数ではまだまだ少ないのかもしれません。

一方で韓国人は、たくさん中国に来ています。
北京には日本人の4倍に上る
4万人の韓国人がいると言われています。
北京の北西の郊外に
「望京」と呼ばれるニュータウンがあるのですが、
ここは韓国人が多く、
ほとんど「コリアンタウン」の様相を呈しています。
韓国焼肉屋、テコンドー教室、
韓国ファッションの店などが建ち並び、
看板もハングル語が目立ちます。

北京で学ぶ留学生もどこの大学でも韓国人が最も多く、
北京の西の学生街「五道口」には
「コリアンストリート」と呼ばれる通りがあるほどです。

北京には朝鮮族の中国人が多く、
韓国人はハングル語で商売がやり易い、
というのもあるのかもしれませんが、
どちらにしても、日本人より韓国人の方が、
腰が軽いというか、国境に対する感覚が薄い気がします。
実際、北京には「リトルトーキョー」と呼べる様な
日本人の街はありません。


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