第178回
ニセ札製造のかどにより、死罪申し渡す!

中国でニセ札、と言えば、
ほとんどが100元札(1,500円)ですが、
最近では、高額紙幣だとチェックが厳しいので、
10元(150円)とか5元(75円)のニセ札も
出回っていると聞きます。
ニセ札製造業者はそんな少額紙幣を作って
採算がとれるんでしょうか?
他人事ながら心配になってしまいます。

こんな状況ですので、今後、
中国で500元札(7,500円)や
1,000元札(15,000円)の発行は有り得ません。
そんなものを出したら、
ニセ札製造業者の経営効率を良くするだけです。

しかし、我々中国で商売をやっている者にとっては、
500元札や1,000元札が登場してくれた方が有り難いです。
中国では日本の様な銀行振込がまだ一般的ではありません。
万元単位のお金を現金で支払って頂いた場合、
数えるのが大変ですし、
銀行で万元単位のお金を下ろすと、ポケットに入らない為、
袋に入れて脇に抱えて、
いかにも「銀行でお金たくさん下ろして来ました」
という風情で道を歩かなければならず、非常に物騒です。

中国では、ニセ札の産地は河南省と言われています。
誰に訊いても、河南省にはたくさんのニセ札製造工場があって、
それらは全て地下に掘られた穴の中に作られている、と言います。

取り締まる側もニセ札には厳罰で臨んでいます。
ニセ札の製造が発覚した場合、ほとんどが死刑になります。
これは国家が、
ニセ札の製造=国家の貨幣制度の根幹を揺るがす大罪、
という認識をしている為です。
中国ではニセ札の製造、密輸、海賊版CDの製造など、
国家の制度に対する挑戦とみなされる犯罪に対しては、
人を殺していなくても死刑を課します。
この様に、ニセ札の製造は文字通り命がけなのですが、
それでもニセ札を製造する人は後を絶たない様です。

中国のお札は地方に行けば行くほど汚くなります。
新札はまず、都会から流通し、回り回って地方に辿り着く為です。
中には触ると得体の知れない病原菌に
感染してしまうのではないか、
と思わせるぐらい汚いお札もあります。
しかし、何十人、何百人もの百戦錬磨の人たちの
厳しいチェックをクリアしてきた汚いお札は、
ニセ札である可能性は低いのかもしれません。


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