第179回
北京の投資用マンションはお買い得か?

HiQの読者の皆さんは、
中国株に興味を持たれている方が多い様ですが、
中には、株では利回りに限界があるので、
中国の投資用不動産を買いたい、
という方もいらっしゃるかと思います。
特に、北京は2008年のオリンピックを控え、
昔の東京の様に、これから地価が高騰していくだろうから、
今の内に買っておきたい、
という方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、北京の不動産事情はそう単純では無い様です。

まず住宅ですが、
現在、北京のマンションは完全に供給過剰状態となっています。
北京ではマンションを借りる場合、
不動産仲介会社は借り手からは礼金を取りません。
こんな事からも北京の賃貸マンション市場が
買い手市場である事が窺えます。

実際、私が北京に来た1996年と比べると、
北京のマンションの賃貸料は40-50%下落しています。
一方で不動産の販売価格は
1996年比で10%ほどしか下落していませんので、
以前に比べて、
不動産投資の利回りは半分ぐらいになってしまっています。

例えば、私が以前住んでいた、
北京の北東の郊外にあるニュータウン、
望京新城のマンションの家賃は
186uで7,000元(105,000円)/月でした。
186uというとものすごく広いマンションかと
思われるかもしれませんが、
これは建築面積と呼ばれる共用部分も含めた面積ですので、
実際の部屋の面積は約7掛け、130uほどになります。

この界隈のマンションを買う場合の相場は、
6,000元(90,000円)/uほどですので、
186uの新築マンションの購入価格は
6,000元×186u=1,116,000元(16,740,000円)
ぐらいと想定されます。

月7,000元の家賃が入れば、
年間で84,000元(1,260,000円)の家賃収入となりますので、
年間の利回りは84,000元÷1,116,000元=7.5%となります。
人民元の住宅ローンの借入金利は、年率5%前後ですので、
全額借入でこの不動産に投資した場合、
ネットの年間利回りは2.5%となってしまいます。

借り手がつかないリスクや、
不動産価格の変動リスクを考えた場合、
2.5%の利回りでは、
余り良い投資対象とは言えないのではないでしょうか。


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