第180回
リスクだらけの中国不動産投資

北京のマンションに投資する場合、
借り手がつかないリスクや、
不動産価格の変動リスクに加えて、
欠陥住宅かもしれない、というリスクがあります。
以前にお話しした通り、中国のマンション建設業者は、
原材料費を浮かせる為にセメントに砂をたくさん混ぜたり、
安くて脆い資材を使ったりします。

マンションを開発したデベロッパーが信頼出来る会社であり、
且つ、メンテナンスもちゃんとやってくれる所で無いと、
新築のマンションも3年とか5年でボロボロになってしまい、
誰も借りてくれなくなると同時に、
資産としての価値も無くなってしまいます。

土地は自分の物では無い、というリスクもあります。
ご存知の通り、中国の土地は全て国家のものです。
中国で「家を買う」という事は、
「その家の建物とその土地を一定期間使用する権利を買う」
という事です。
日本にも「定期借地権付き住宅」というのがありますが、
中国では全ての家がそれ、という事です。

土地の所有権がありませんので、
国家が「計画が変わって、ここに幹線道路を通す事になりました。
ついては今月中に立ち退いてください」などと
一方的に通達してきても、
「ふざけるな!ここは俺の土地だ!」と抗弁する事が出来ません。
ま、そのお陰で
何十年経っても輪っかにならない東京の環八と違って、
北京の環状線は2-3年できれいな輪っかが完成するのですが...。

人民元がハードカレンシー(兌換貨幣)でない、
というリスクもあります。
通常、中国での家賃の支払いは人民元で行われます。
人民元の切り上げ差益を得たいので、
家賃収入は人民元がハードカレンシーになるまで
ずっと中国に置いておく、という気の長い話なら良いのですが、
人民元を中国の銀行で外貨に兌換して
日本に送金する事は出来ませんので、
日本円ですぐに回収、という訳には行きません。

ただ、最近、香港では街のマネーチェンジャーだけではなく、
銀行でも人民元から外貨への兌換がされている様ですし、
香港経済の活性化の為、
中国大陸から香港への人民元の持ち込み制限も
撤廃された様ですので、
人民元を外貨に換える問題は、
香港を使う事により、解決は可能かと思います。


←前回記事へ 2003年12月24日(水) 次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ