第218回
「なんだ、日本と変わらないじゃないか」

広東省珠海市の集団買春で
既に十分に盛り上がっていた反日感情に油を注いだのが、
西安の西北大学で起きた、日本人留学生による、
いわゆる「わいせつパフォーマンス事件」です。

西北大学の文化祭の出し物で、
日本人の男子留学生が赤いブラジャーを付けて、
ブラジャーの中から紙吹雪を掴み出して撒いた、との事です。
こう聞くとただのくだらない宴会芸で、
なにも目くじらを立てて怒るほどの事では
ないのではないかと思うのですが、
「神聖な大学の文化活動を愚弄した」という事で、
大問題に発展した様です。

その後、西北大学では一部の中国人学生が、
留学生寮になだれ込み、日本人留学生と分かるや殴りかかる、
という「日本人狩り」が行われました。
パフォーマンスとは全く関係が無いにもかかわらず、
日本人だというだけで殴りかかる、というのは、
大変人種差別的な卑劣な行為だと思います。
これについては、
多くの中国人の人たちからも非難の声が上がりました。

今回の「日本人狩り」は西北大学の内部でのみ起こりましたが、
反日感情がどんどん高まる様な事になれば、
これが全国に広がらない、という保証はありません。

実際、1999年のユーゴ空爆で、アメリカの爆撃機が誤爆、
新華社の記者が犠牲になった時には、
中国各地で「アメリカ人狩り」が起こり、
アメリカ人は危なくて外を歩けない様な状況になりました。

珠海の集団売春事件にしても、
西安のわいせつパフォーマンス事件にしても、
中国がどんな国か良く認識していれば、
起こり得なかった事件です。

改革開放で経済発展し、
経済的には資本主義国家の様な様相を呈している中国ですが、
政治的には共産党一党独裁の警察国家であることに
変わりはありません。
また、中国の人たちの考え方も自由になりつつあるのですが、
性に関しては大部分の人がまだまだ非常に保守的であり、
下品なものは好みません。

今後、日中両国の経済的なつながりが深まるにつれて、
今まで全く中国ビジネスに携わった事のない日本人が
たくさん中国に来るようになります。
別に中国に対して不必要に怖がる必要は無いのですが、
北京や上海の街並みを見て、
「なんだ、日本と変わらないじゃないか」と思い、
日本にいる時と同じ様に振舞うと、
痛い目にあう可能性がある、という事を、
是非覚えておいて頂きたいと思います。


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