第234回
ついに出た!「女体盛り」!

中国では日本料理店が増え続けており、
各店とも激しい競争を強いられています。
他店との差別化の為に、食べ放題にしたり、
割引をしたり、内装をきれいにしたり、
盛り付けを工夫したり、みんな必死です。

そんな中でついに、というか、とうとう、というか、
「女体盛り」を出す店が雲南省昆明市にオープンし、
物議を醸しました。
「女体盛り」とは、
女性の体に刺身や寿司を乗せて食べる食べ方で、
日本ではその昔、
お大尽が芸者遊びの一環としてやっていた様です。

この店では、健康、容姿端麗、学歴大卒以上の女性を選抜し、
「日本の伝統的飲食文化」、
「人と芸術と料理の調和」という事で、
このサービスを提供していました。
費用は1人当たり1,000元(15,000円)で、
3日前までの予約が必要、との事でした。

しかし、このサービスが写真付きで新聞報道されるやいなや、
女性を中心に
「男尊女卑だ!」、
「女性の人権を侵害している!」
という世論が巻き起こりました。

中国には「女体盛り」を禁じる法律がありませんので、
対応に苦慮した雲南省は、最終的に、
「皿の代わりとなった女性が、
省が定めた飲食店の食器に対する
洗浄、消毒基準を満たしていなかった」
という事で、同店にサービスの停止と罰金を課し、
この「女体盛り」騒動は幕となりました。

中国の一部の日本語教科書には、
「日本の伝統文化」という事で「女体盛り」の絵が出ており、
私は日本語学習者の人から
「日本の男の人たちは、
いつもこうやって刺身や寿司を食べているんですか?」
と真顔で訊かれた事が何回もあります。
その度に「そんな訳ないでしょ」
と誤解を打ち消すのに苦労していたのですが、
今回の騒動で、
ただでさえ変態と思われている日本人男性のイメージが、
更に決定付けられる結果となってしまいました。

今の中国では、さすがに
「日本人は朝の忙しい時に、
どうやってちょんまげを結っているんですか?」
という様な、とんでもない誤解をしている人はいませんが、
「キムタクもお刺身食べる時は、
「女体盛り」してるのかなぁ」ぐらいの誤解はありそうです。
これだけ情報技術が発達している現代ですが、
日中双方とも、お互い、
まだまだ解かなければいけない誤解は多そうです。


←前回記事へ 2004年4月26日(月) 次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ