第247回
北京通勤事情

「中国」と言われて、我々日本人が思い浮かべる光景に、
自転車の大群があります。
北京は道幅が広い為、ほとんどの道に自転車専用レーンがあり、
自転車通勤をする人には非常に恵まれた環境なのですが、
最近は、自転車通勤をする人が減っている様で、
中国の代表的イメージとも言える自転車の大群は、
余り見られなくなってきています。

これは、北京の中心部にあった住宅がどんどん取り壊され、
オフィスビルや高級マンションに変わってしまい、
庶民は郊外のマンションに
移り住まざるを得なくなってしまった為、
自転車で通える範囲を超えてしまった、
という事が主な原因であると思われます。

とは言え、うちのお手伝いさんの王さんは、
毎日、往復20km以上の道のりを自転車で通勤していますので、
中国の「自転車で通える範囲」は、
日本のそれに比べてかなり広いのですが...。

自転車で通える範囲を超えてしまった人たちは、
バスで通勤する事になります。
北京には地下鉄があるにはありますが、
まだ3本しか走っていませんので、
家と会社が両方とも地下鉄の駅のそばにある確率は、
ほぼゼロに等しい状態です。

バスの路線は地下鉄よりはるかに多いのですが、
それでも、家の最寄のバス停から、会社の最寄のバス停まで、
1本の路線で行ける事はほとんどありません。
どうしても、1回か2回は乗り換える事になります。

渋滞でバスの運行に支障が出ない様に、
北京では朝夕の通勤ラッシュの時間は、
一番外側のレーンがバス専用レーンになりますが、
それでも入り込んでくる車は多く、
バスはなかなかスムーズに進みません。
こうした乗り換えと渋滞で、10kmぐらいの距離でも、
1時間以上かけてバス通勤をしている人がたくさんいます。

タクシーで通勤すれば乗り換えも混雑もなく快適なのですが、
10km走れば20元(300円)ぐらいいってしまいます。
バスなら2路線乗っても2元(30円)ですので、
タクシーはバスの10倍の値段、という事になります。

日本で言えば、電車で300円の所を、
タクシーで3,000円かけて出勤する、という事ですから、
かなりの高給取りでないと、
毎日タクシー通勤はきついかな、という感じです。


←前回記事へ 2004年5月26日(水) 次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ